センメルヴェイス反射

人は,常識と言われているような事や今まで信じられていた事と違うことを言われると、反射的に否定・拒否してしまう傾向がある。
それを「センメルヴェイス反射」という。

センメルヴェイスは医師だったため特に医療において使われることが多いが、一般に信じられてきたことにそぐわない(反する)事実を拒絶する心理機序に用いられる言葉になった。

センメルヴェイスは従来の医療の常識を覆す発言をしたため、精神病棟に隔離され不運の死を遂げてしまったという。(後に彼の正しさが証明された)

どの世界でも、どの時代でも、どの分野でも、今でさえ、「センメルヴェイス反射」はいたるところで生じている。
特に医療や科学は不幸な「センメルヴェイス反射」を乗り越えて発展してきた。
歯科矯正における小臼歯非抜歯症例や、歯科インプラントの初期症例も一昔前の歯科界では異端であった。
ガリレオがコペルニクスの地動説を正しいと主張したことも異端であり、有罪とされてしまった。

宗教や政治も同様だ。
中世ヨーロッパの「魔女狩り」は、「センメルヴェイス反射」というよりセンメルヴェイス-ヒステリーとも言ってよい不幸な歴史を刻んだ。
ジャンヌダルクは10代で百年戦争でのフランスの危機を救ったが、結局異端者として宗教裁判で有罪となった。

日本の政治も派閥政治や政治に金がかかるという常識から抜け出せないし、経験がないと総理大臣は無理だと識者は言う。
大学では教授の発言を盲目的に確信し、否定すると居場所がなくなる(…場合が多い)。

これらの事象は皆「センメルヴェイス反射」の成せる結果なのかもしれない…

常識を疑うことはどの分野にも必要だと感じるが、とても難しい。
何故なら反射は無意識に表れてしまうものだから…