LGBTQ

「LGBTQ」とは
  “L”=レズビアン(女性同性愛者)
  “G”=ゲイ(男性同性愛者)
  “B”=バイセクシュアル(両性愛者)
  “T”=トランスジェンダー(生物学的性別にとらわれない人)
  “Q”=クイア(性的指向や性自認が明確でない人)
など、性的少数者の総称をいう。

いづれも「社会的少数者」と呼ばれ今までは偏見や差別の対象とされてきた。
日本では「LGBT法案」が2023年6月に国会で成立・施行されている。
ジェンダーアイデンティティの多様性の理解を深め偏見や差別を無くすための法制化である。

当医院は早稲田大学の指定協力医院となっているが、大学からの要請により予診票の性別欄は削除させて頂いている。確かに歯科治療においては性別確認は関係ない。

考えてみれば偏見や差別は昔からどの世界でも存在していた。
士・農・工・商・穢多・非人 は江戸時代からの差別階級であった。
被差別階級からの脱出を目指す忍者カムイの姿を描く白土三平氏による長編漫画「カムイ伝」は昔よく読んだ記憶がある。
お隣韓国の李氏朝鮮時代は韓流ドラマにあるように 両班・中人・常人・賎人の4つの階級に大別されていた。
南アフリカでは法によって定められた人種隔離と差別の悪制「アパルトヘイト」が存在した。
昔、アメリカの奴隷制度を描いた「ROOTS(ルーツ)」という衝撃的なドラマがあり、今でも記憶に残っている。
この奴隷制度は南北戦争の後廃止されたが白人優位思想は消えていない。
宗教・思想・文化の相違による偏見は不幸な戦争にまで発展するが、歴史はそれをいまだに繰り返している。

それほど時代を遡らなくても、私の高校時代ですら部落問題(同和問題)の差別が存在していた。
(当時、私の出身高校の分校の出来事だった「狭山事件」にはじめて触れ、部落問題の現実を知った)
就職時、「部落地名総鑑」を大企業の人事部が密かに購入し面接時の資料にしていたというのは本当だろうか?
その後就職時の履歴書には親の職業欄や本籍地の記載欄は無くなり現住所のみの記載になったという。
当然就職だけでなく結婚なども出生地によって差別が生じていたのはあまり知られてはいない。
「寝た子を起こすな」の本来の意味は部落差別を知らない子どもたちにわざわざ教える必要はないということである。

歴史を観ればマイノリティ(minority)は常に逆境に置かれていた。
考え方が変われば良いと思うのだが、人間の心の根底にはヒエラルキー意識が刷り込まれているのだろう…

多様性社会を実現するのなら、法律立案の前に幼少期からの平等教育を最優先しないと差別意識は変わらないのではないだろうか? 多様性が普通になる社会への道のりは遠いと感じてしまう。