なぜ歯が痛むのか?

歯の痛みはなかなか我慢できないものです。歯科の臨床現場では「歯が痛い」という主訴はとても多いです。

歯の痛みの原因はざっくり分けて3つあります。歯の神経の痛み歯の周囲組織の痛みその他の原因による痛み の3つです。

① 歯の神経の痛み

歯科臨床でかなり頻度の高い痛みです。多くの場合、歯の中にある神経(歯髄)近くまで虫歯が進行してしまった場合、あるいは神経(歯髄)まで穿孔してしまった場合、非常に強い(鋭い)痛みを感じます。歯科では鋭痛(えいつう)といって、歯科麻酔をしないと治療ができません。

「歯がズキズキ痛む」という訴えの多くは、麻酔をして神経をとる処置(麻酔抜髄)になります。神経の処置をして痛みをとった後は詰め物や被せ物をして治療を終えます

② 歯の周囲組織の痛み

この痛みも臨床ではよく経験します。歯の神経が死んでしまって感染を起こすと、歯の周囲の歯茎などに炎症が及び 腫れてきます。腫れてくると、周囲に圧力がかかり痛みが強く発現します。

「歯茎が腫れて痛い」という訴えがある場合は腫れている部分から膿を出したり(切開・排膿)、あるいは原因歯の中を消毒(根管治療)したりする処置になります。場合によっては抜歯や、抗生剤等の処方も必要になる場合があります。

③ その他の原因による痛み

その他にも、歯周病(歯槽膿漏)の痛み噛み合わせの異常による痛み(咬合性外傷)や、重度の知覚過敏、埋伏した親知らずが原因の痛み悪性または良性腫瘍による痛み、歯牙の破折や骨折三叉神経痛の痛み「歯ぎしり」や「くいしばり」に起因する痛み顎関節症の痛み、等々さまざまな要因で生じる痛みがあります。

虫歯や歯槽膿漏など、口腔内の痛みは放っておくと進行して更に悪化する場合が多いです。痛みは治療を勧める生体のシグナルなので、早めの受診をおすすめします。