自己免疫疾患と歯科治療
「自己免疫疾患」とは免疫系が自分に対して攻撃して起こる疾患のことです。
自己を守るはずの免疫が暴走して自分を攻撃してしまう病気なのです!
自己免疫疾患には膠原病(関節リウマチや全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群等)や潰瘍性大腸炎、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)、橋本病(慢性甲状腺機能低下症)、などがあります。
これらの「自己免疫疾患」をお持ちの患者さんは、免疫を抑制する「免疫抑制剤」等の薬を内科の先生から処方されている場合が多いです。ステロイド剤やJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬などもそのお薬です。
免疫細胞(リンパ球)や炎症性タンパク(炎症性サイトカイン)などを抑え込むためのお薬です。
この「免疫抑制剤」の服用により感染に対して体の防御力が弱くなってしまう欠点が生じてしまいます。
歯科関係では、免疫力の低下により歯周病の罹患率が高くなったり、抜歯などの外科処置後の傷の治りが遅くなったりしてしまいます。通常抜歯では抗生剤の投与は必要なくても、自己免疫疾患の患者さんの場合は抗生剤の処方も検討します。
また、シェーグレン症候群の場合は唾液の分泌量の低下の為ドライマウス(口腔内乾燥)、口内炎などができやすくなりますので、口腔内清掃と含嗽(うがい)が必要です。また、唾液分泌の低下は虫歯の発生率が高まりますので定期的な口腔内清掃が不可欠です。
バセドウ病などでは血液中の甲状腺ホルモンが高い時期は抜歯をさけて、甲状腺機能が安定してから治療を受けてください。
橋本病の人はイソジンなどの含嗽薬はヨードが含まれているため避けた方がいいです。
甲状腺治療中の方はしっかりコントロールされていない場合はインプラント治療は避けた方がよいでしょう。
「自己免疫疾患」をお持ちの患者さんは歯科治療の際にも注意が必要ですので病歴を伝えていただくとありがたいです。