立秋(8月7日)
8月7日は立秋である。暑さの厳しい時期だが、暦の上では秋を迎え始めた。
「秋が立つ」季節とも言う。
「立秋を過ぎても暑い日が続きますね」「初秋の候お変わりございませんか」
「向秋(こうしゅう)の候いかがお過ごしでしょうか」など
昔は 手紙の書き出しには季節の挨拶がしたためられていた。
また、文末には
「残暑厳しき折皆様のご健勝をお祈りいたします」
「秋の訪れを待ち焦がれる侯 自愛ください」など
結びの挨拶で終わるのがマナーだった。
現在は携帯で瞬時に連絡が取れ、手紙をゆっくりしたためるという事が皆無だ。
効率最優先の為 用件のみの時短連絡だけで このような挨拶文を使う若者はいない。
時候の挨拶は現在の若者文化には そぐわないのだろう。
「そろそろ秋が立つね…」と言っても若い人には通じないのだ。
先日、高校時代友人の書展『鵬圖舎(ほうとしゃ)書展』に伺った。
和歌を艶やかな仮名文字で流れるように また雅に描かれた書に ほっとした息抜き感を得た。時間に追われる日常からふと解放された時を過ごした。
向秋の候、雅な日本文化が便利さと引きかえに薄れていく一抹の寂しさを感じる。